人目の多い街中に立地する木造住宅である。計画段階では眺望を意識した2階建て案も選択肢となったが、陽当たりの良い広く整形な敷地条件が決め手となり、芝生の庭をオープンな平屋と目隠し壁で囲い込んでプライベートな世界を創りこむ、接地性を活かした平屋案に収束した。
庭を囲う目隠し壁と外壁のデザインを統一し、水平方向に伸びる二つの壁面と庇が重層的に展開するシンプルな外観にまとめることで、街に対する視線の遮断と存在感・ボリューム感の低減を図っている。
庭に対しては対称的に、深い庇の下を窓やテラスで出来るだけ開放して屋内外を連続させた、平屋ならではの魅力を満喫できるつくりが特徴である。
インナーガレージやランドリールーム、プール、各種造作家具など暮らしを彩る+αの設えを随所に盛り込む一方で、合理的なプランニングにより建物全体を無駄なく構成し、標準寸法の徹底、納まりの単純化、既製品の採用などメリハリの効いたコストコントロールを重視した。
断熱等性能等級5、一次エネルギー消費量等級6といった基本的な省エネ性能に加えて、構造体は許容応力度計算により約40畳の無柱かつオープンな空間を耐震等級3で実現し、長期優良住宅の認定を取得している。
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