街の素朴さを見失わない 拠点づくり。

地域に根差した現代のヘダ号

 沼津市戸田(へだ)地区は、西伊豆の根元に位置する周囲を山に囲まれた海辺の小さな集落である。海の幸や史跡、温泉にも恵まれた風光明美な景勝地ながら、地形に起因する交通アクセスの悪さから伊豆の他の観光地と比べて良い意味で垢抜けていない、穴場的な風情を持った土地柄である。
「くるら戸田」は地元住民の活動・防災拠点であると同時に、街の交流人口を増やし魅力を発信するための観光拠点として計画され、道の駅に登録された。

 集客施設として求められる商業的な逞しさと戸田の魅力である素朴さや慎ましさとのバランスに腐心しつつ、シンボリックでありながら節度のある賑わいの場として自然に地域へ溶け込むよう検討を重ねた。
観光案内・物産販売・展示・温泉・庁舎・地区センターなど用途は多岐にわたるが、地元住民・外来者といった利用主体を踏まえてゾーニングし、相互の干渉や多様な賑わいが生まれるよう、全ての用途を中央の交流ロビーに面して分散配置したわかりやすい構成としている。
外観は、幕末に当地の村民が力を結集して建造した日本初の西洋式帆船「ヘダ号」のマストと帆をデザインモチーフとしている。
くるら戸田全景
くるら戸田正面外観 くるら戸田夜景

マストと帆をモチーフにした大屋根や市場を思わせる連続切妻屋根など、素朴さの中にもシンボル性をもたせた外観

吹抜の交流ロビー
光が差し込む交流ロビー

道の駅・庁舎・地区センターなどさまざまな用途に囲まれた施設の中心「交流ロビー」

観光案内・漁業展示コーナー 軽食・物産販売コーナー

観光案内・漁業展示コーナー

軽食・物産販売コーナー

天然かけ流し温泉壱の湯 戸田産杉材を用いたテラス庇

天然かけ流し温泉壱の湯

戸田産杉材を用いたテラス庇